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28th May 2018

2018/05/28   -作品演奏会関連

 

絵の具を水に垂らしてかき混ぜる…マーブル模様というのは私が最も好きな視覚的イメージのひとつ。物理的な法則に従い、シンプルな手順から生まれる視覚的な複雑性…複雑に絡み合う色は非常に美しい。これはただ美しいだけではなく、私にとっては音楽を紡ぐ上で、そして生きる上でとても大切なメタファーでもあります。

 

さて、いつの間にかあと少しとなりましたが、6月8日と6月11日に日本で、バリトン•サクソフォンのための3つのエテュードより第2、3曲が初演者の本堂誠くんによって再演されます。同じ演奏会では坂田直樹さんのバリトン•サクソフォンのための新作も演奏され、私のものと含め2曲がソロで、そしてショスタコーヴィチとラフマニノフの名作チェロ•ソナタはピアノとのデュオによって演奏されます。

 

バリトン•サクソフォンは今や決して特別な楽器ではありませんが、坂田さんのものと私のものは楽器というよりも彼へと向けて書かれた作品:すなわち、彼のポテンシャルへの信頼の上に初めて書くことが可能となった作品です。そして彼自身によるチェロ•ソナタの編曲は彼が最も熟知する彼自身のポテンシャルへの確信のもとに許されたバリトン•サクソフォンのための編曲です。これらが同じ会場で演奏されることは非常に楽しみ。誰よりも私が聴きたいこの演奏会ですが、パリでのイベントも目白押しのこの時期、伺えないことが本当に残念です。

 

本堂誠 サクソフォン リサイタル
6月8日(JTアートホール アフィニス、東京)
6月11日(ザ・フェニックス・ホール、大阪)

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21th April 2018

2018/04/21   -未分類

 

日本ではもちろんのことですが、春というのはヨーロッパにおいてもとりわけ美しい季節とされ、その理由の多くを占めるのは日に日に長くなる日照時間とその日差しの鮮やかさなのだろうと思います。街を歩けばテラスや川岸に集まって恙無い時間を過ごしているパリジャン、パリジェンヌがいっぱい。皆日差しが大好きです。

 

先日パリにて行われた第5回Concours-Festival répertoire pianistique moderneにて自作《Buffer-groove》を演奏した栗山沙桜里さんがグランプリを取ったとのこと。近現代のレパートリーのためのコンクールということで、20世紀の作品を中心に組んだコンテスタントが多い中、自作を取り上げていただいて、かつ素晴らしい結果を残されて嬉しい限りです。この作品は昨年末から今年頭にかけて書いたもので、Youtubeに演奏の動画が上がっているのでトップページに動画を追加しました。

 

来月アムステルダムにて、2016年に書いた《Mask》が初演者の二人、リコーダーの梁益彰くんとチェンバロの須藤真地子さんによって再演されます。ますます進化を続ける二人による再演は非常に楽しみなところ。こちらのプログラムの中の、26日の20:15からのクロージング•コンサートの中で演奏されるようです。

 

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8th April 2018

2018/04/08   -日常のあれこれ

もうしばらく前になりますが、3月23日の演奏会は無事に終了致しました。

 

学内での演奏会は自分にとっては実験の場であり、毎回毎回それぞれが到達点であると同時に経過点としての意味合いが強いのですが、そういった意味合いの演奏会はこれが最後。次は大きな到達点である卒業制作なので、今まで培ってきたものの集大成として、一層の気合を持って取り組みたいと考えています。(おそらくは来年度の電子音楽の演奏会に参加するとは思うのですが、現時点では未定)

 

その演奏会が終わってからというもの、現在まで宙ぶらりんの生活…演奏会が終わった後の休憩期間といえばそれまでなのですが。やるべきことはしつつ、それらが全て喫緊のものでないせいか、注意力散漫の状態が続いていますが、その状態もそろそろ辛くなってきたので、どれかに照準を合わせて、本腰を入れて作業したいと思います。

 

 

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18th March 2018

2018/03/19   -作品演奏会関連

パリは突然の雪模様。パリに比べて東京が暖かいと安心する自分がいます。

 

今週、23日の金曜日、今年度唯一となる学校での本番があります。8人のアンサンブルとエレクトロニクスのための作品。本当に素晴らしい指揮者、Pierre-André Valade(近々日本での指揮の機会があるそうです)によるリハーサルの中でアンサンブルは見違えるような進化を遂げ、明日から始まる最終調整が本当に楽しみです。あらゆる学校のエレクトロニクスの演奏会を担当する百戦錬磨のテクニシャン、Jacques WarnierとJulien Aleonardの万全のサポートを受け、本番に臨みます。友人の作曲家たち、Matias De Roux, Théo Mérigeau, Daniel Apodakaの作品も本当に楽しみ。

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20th February 2018

2018/02/20   -作品演奏会関連

大変ご無沙汰しております。かつてないほどに余裕のない日々が続きこちらを更新する余裕がまるでなかった一ヶ月ほどでした。また冬眠期に入る前にいくらかしたためたいと思います。

 

下の投稿にあるように過ぎし2月18日に演奏会がありました。バス•フルート/コントラバス•フルートの梶原一紘さん、バリトン•サクソフォンの本堂誠くんとの演奏会にて電子音響と作曲を担当しました。両国門天ホールというお客様の顔がひとりひとりわかるほどの親密な空間で、アットホームな雰囲気の中-これはお二人のお人柄に負う部分が非常に大きいです-無事に午後2公演終演しました。

 

楽器に対してかなり強い制限がかかっていたために、これらの楽器のために書かれた二重奏作品は存在せず、そこから生まれた2つのアイディアは先日の演奏会の特色となっていたかと思います。

 

1つ目は即興を取り込んだこと。お二人とも即興演奏に対する関心が高い奏者で、リハーサルの度に様相が変わる即興演奏には舌を巻いたものです。楽器による即興はそれだけで非常に豊かですが、今回の演奏会ではそこにリアルタイムで楽器の音を変調させることにより私も参加し、さらにこの低音楽器の即興に幅をもたせることができたのではないかと思います。

 

2つめはルネサンス時代の作品をプログラムに取り込んだこと。楽器指定のない作品というのは古い時代には数多く存在しており、そういった作品の中から2作品を演奏しました。トークの中で清涼剤という言葉が用いられていたかと思いますが、20世紀、21世紀の作品が多かった今回のプログラムの中で、旋法による音楽はより始原的な響きによる、お客様の耳のモードを変えるものとなったのではと思います。

 

といった演奏会全体のことに加えて、作曲の人間としてもかかわったこの演奏会。コントラバス•フルートとバリトン•サクソフォンのための舞踏組曲の初演がありました。電子音響技師として携わった演奏会で自分の作品が演奏されるというのは、演奏者と作曲者という二重の立場で1つの演奏会に携わるという非常に独特な体験です。そのために作品が初演されたという実感がそれほど湧かないのですが、このかなり特殊な編成のために書かれた作品での経験は、いずれ活きてくることになるのだろうと思います。

 

再び低音縛りなのか、違ったテーマなのか、どのようになるかはまだわかりませんが、次回を望む声も多かった我々の次の演奏会をお待ちいただければと思います。

 

しばらく日本に滞在していますが、人と会ったり作曲したり作業したりで充実の毎日を過ごすことになりそう。ありがたい限りです。