「 作品演奏会関連 」 一覧

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9th October 2018

2018/10/09   -作品演奏会関連

 

朝晩はかなり冷え込む昨今のパリ。すっかりコートやマフラーの映える気候となりました。いろいろあったような、何もなかったような9月のパリですが、振り返ればやはり何かしらはあったようです。そんな9月の目玉は下に書く演奏会。

 

9月22日にはソプラノの溝淵加奈枝さんとギターの藤元高輝くんによる演奏会にて拙作の演奏がありました。もともとはソプラノとピアノのために書かれた小品ですが、ギターにアレンジしてもうまくいくのではないかと思い、この度ギター版を作ることに。とはいえ、ギターでは少し無理があるのではないかと思いながら編曲していたのですが、私自身の想像をはるかに超えた藤元くんの演奏はまるで初めからギターのために書かれたのではないかと思うほどで、素晴らしい編曲初演となりました。

 

現在はドイツに住んでいるお二人によるこのデュオ。やはり奏者によって選曲も変わるもので、個人的にはプログラム(選曲)にいささかの懐かしさを感じた次第。パリであのようなプログラムを聴けるのは珍しかったことと思います。ソプラノ、ギターともにそれぞれの作品の芯を捉えた演奏は抜群で、あれだけ幅のあるプログラムでそれを成し遂げたことには感嘆。そんな二人の活動はヨーロッパや日本などで定期的に続くことになるかと思うので、今後とも注目していきたいです。

 

10月になると不思議と空気も変わり、街が動き出している気がします。いよいよ2018/19年度の本格的な始まりといったところでしょうか。

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14th June 2018

2018/06/14   -作品演奏会関連

 

日本ではバリトン•サクソフォンのための作品が再演され、パリではバリトン•サクソフォンとフルートとの即興演奏の舞台があり、バリトン•サクソフォンとの関わりが強い6月頭となりました。本堂くん、外山さんという私のパリ留学以来の長い付き合いの2人とプロジェクトを作れるようになったのだと考えると実に感慨深い。長らく手をつけていなかった諸々に手をつける心の余裕もようやく生まれ、少しはアクティブになれそうな近頃です。

 

[東京、大阪での演奏会について]

本堂誠くんが素晴らしい奏者であるということは既に広く知られていることかと思いますが、それを証明付ける非常に素晴らしい演奏会であったことと思います。現場にいることは叶いませんでしたが、遠くパリの地からも確認することができる、それを確信できるほどの熱狂的な反応の数々がそれを物語っています。いつかまた彼のために10分〜15分くらいのまとまった長さの独奏曲やバリトン•サクソフォン+エレクトロなどを書ければいいなと願いますが、果たしてその機会は訪れるのだろうか。

 

[パリでの即興演奏の機会について]

終わってから気づいたことですが、舞台上で何かをするというのはおよそ10年振りのこと。そしておそらくこれがその最後の機会となることでしょう。得るものが多い、非常に貴重な機会でした。即興演奏に関わるようになってまだ日が浅いですが、この領域に関しての見識が少しはついたように思います。外山舞さんと内山貴博くんとの即興は実に心地よく、彼らと行うことになる次のプロジェクトが非常に楽しみです。写真は終演後の挨拶の際のもの。

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28th May 2018

2018/05/28   -作品演奏会関連

 

絵の具を水に垂らしてかき混ぜる…マーブル模様というのは私が最も好きな視覚的イメージのひとつ。物理的な法則に従い、シンプルな手順から生まれる視覚的な複雑性…複雑に絡み合う色は非常に美しい。これはただ美しいだけではなく、私にとっては音楽を紡ぐ上で、そして生きる上でとても大切なメタファーでもあります。

 

さて、いつの間にかあと少しとなりましたが、6月8日と6月11日に日本で、バリトン•サクソフォンのための3つのエテュードより第2、3曲が初演者の本堂誠くんによって再演されます。同じ演奏会では坂田直樹さんのバリトン•サクソフォンのための新作も演奏され、私のものと含め2曲がソロで、そしてショスタコーヴィチとラフマニノフの名作チェロ•ソナタはピアノとのデュオによって演奏されます。

 

バリトン•サクソフォンは今や決して特別な楽器ではありませんが、坂田さんのものと私のものは楽器というよりも彼へと向けて書かれた作品:すなわち、彼のポテンシャルへの信頼の上に初めて書くことが可能となった作品です。そして彼自身によるチェロ•ソナタの編曲は彼が最も熟知する彼自身のポテンシャルへの確信のもとに許されたバリトン•サクソフォンのための編曲です。これらが同じ会場で演奏されることは非常に楽しみ。誰よりも私が聴きたいこの演奏会ですが、パリでのイベントも目白押しのこの時期、伺えないことが本当に残念です。

 

本堂誠 サクソフォン リサイタル
6月8日(JTアートホール アフィニス、東京)
6月11日(ザ・フェニックス・ホール、大阪)

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18th March 2018

2018/03/19   -作品演奏会関連

パリは突然の雪模様。パリに比べて東京が暖かいと安心する自分がいます。

 

今週、23日の金曜日、今年度唯一となる学校での本番があります。8人のアンサンブルとエレクトロニクスのための作品。本当に素晴らしい指揮者、Pierre-André Valade(近々日本での指揮の機会があるそうです)によるリハーサルの中でアンサンブルは見違えるような進化を遂げ、明日から始まる最終調整が本当に楽しみです。あらゆる学校のエレクトロニクスの演奏会を担当する百戦錬磨のテクニシャン、Jacques WarnierとJulien Aleonardの万全のサポートを受け、本番に臨みます。友人の作曲家たち、Matias De Roux, Théo Mérigeau, Daniel Apodakaの作品も本当に楽しみ。

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20th February 2018

2018/02/20   -作品演奏会関連

大変ご無沙汰しております。かつてないほどに余裕のない日々が続きこちらを更新する余裕がまるでなかった一ヶ月ほどでした。また冬眠期に入る前にいくらかしたためたいと思います。

 

下の投稿にあるように過ぎし2月18日に演奏会がありました。バス•フルート/コントラバス•フルートの梶原一紘さん、バリトン•サクソフォンの本堂誠くんとの演奏会にて電子音響と作曲を担当しました。両国門天ホールというお客様の顔がひとりひとりわかるほどの親密な空間で、アットホームな雰囲気の中-これはお二人のお人柄に負う部分が非常に大きいです-無事に午後2公演終演しました。

 

楽器に対してかなり強い制限がかかっていたために、これらの楽器のために書かれた二重奏作品は存在せず、そこから生まれた2つのアイディアは先日の演奏会の特色となっていたかと思います。

 

1つ目は即興を取り込んだこと。お二人とも即興演奏に対する関心が高い奏者で、リハーサルの度に様相が変わる即興演奏には舌を巻いたものです。楽器による即興はそれだけで非常に豊かですが、今回の演奏会ではそこにリアルタイムで楽器の音を変調させることにより私も参加し、さらにこの低音楽器の即興に幅をもたせることができたのではないかと思います。

 

2つめはルネサンス時代の作品をプログラムに取り込んだこと。楽器指定のない作品というのは古い時代には数多く存在しており、そういった作品の中から2作品を演奏しました。トークの中で清涼剤という言葉が用いられていたかと思いますが、20世紀、21世紀の作品が多かった今回のプログラムの中で、旋法による音楽はより始原的な響きによる、お客様の耳のモードを変えるものとなったのではと思います。

 

といった演奏会全体のことに加えて、作曲の人間としてもかかわったこの演奏会。コントラバス•フルートとバリトン•サクソフォンのための舞踏組曲の初演がありました。電子音響技師として携わった演奏会で自分の作品が演奏されるというのは、演奏者と作曲者という二重の立場で1つの演奏会に携わるという非常に独特な体験です。そのために作品が初演されたという実感がそれほど湧かないのですが、このかなり特殊な編成のために書かれた作品での経験は、いずれ活きてくることになるのだろうと思います。

 

再び低音縛りなのか、違ったテーマなのか、どのようになるかはまだわかりませんが、次回を望む声も多かった我々の次の演奏会をお待ちいただければと思います。

 

しばらく日本に滞在していますが、人と会ったり作曲したり作業したりで充実の毎日を過ごすことになりそう。ありがたい限りです。